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読売新聞 2004年5月30日(日)

「歩いて老化を防ぐ」 
姿勢正して足腰鍛える 
ウォーキングで運動不足解消

新聞記事

「老化は足から」と言われるように、足の筋肉は二十歳ごろをピークに、身体の他の部分より早く衰えていく。高齢期を迎えて「歩行の老化」がさらに進むと、つまずいて転びやすくなり、骨折して寝たきりになる人も多い。日ごろから正しいフォームを意識して積極的に歩けば、足腰の筋肉を効果的に鍛えられ、脚力の維持や強化に役立つという。(富浪 俊一)

老人型は筋肉に負担

「歩行開発研究所」を主宰する関西医大名誉教授の岡本勉さん、長女で京都大非常勤講師の香代子さんらは、年齢による人の歩き方の変化を調べるため、乳児から成人、高齢者まで、延べ千人以上を対象に歩行時の筋電図を取り、その特徴を解析した。 乳幼児期は、両足を肩幅以上に広げて中腰で重心を下げ、つま先や足の裏全体で着地する不安定な歩き方をする。 三歳ころになると早くも、安定した直立姿勢の成人型に発達する。かかとで着地し、かかとの強い押し出しを生かして、つま先で地面をけり出すのがポイントで、足の筋肉の負担が少なく、合理的な使い方をしていた。 中高年期以降になると、脚カや背筋力が弱り、猫背で腰やひざなどが曲がる不安定な老人型に移行していく。 老人型の歩行は、ふくらはぎや太もも、尻の筋肉に過剰な力が求められ、乳幼児期の歩き方と似ていた。筋肉の負担はイスから立ち上がる時と同じぐらい大きくなるため、歩くのが苦になり、少し歩いても疲れてしまうと考えられた。

フォームが大切

老人型歩行への移行期には「背中が曲がり、あごが前に出る」「小刻みに歩く」「速度が遅くなる」「すり足になる」などのサインが現れる。 それを予防し、衰えた筋力を強化するには「ウォーキング」が最適だという。ジョギングなどと比べて体に過剰な負担をかけず、気軽に運動不足を解消できる全身運動で、肥満のほか、高血圧、糖尿病、心臓病など生活習慣病の予防・改善にもつながる。 歩く時はフォームに気をつけよう。まず、上半身の姿勢を正すことが大切だ。腹や尻を引き締め、背すじを伸ばして胸を張り、あごを軽く引く。 もう一つのポイントは足の運び方。踏み出したつま先を少し外向きにし、かかとを一直線上に着地させる。続いて足裏の外側へ体重を移動し、親指で後方へ強くけり出す。ひざはあまり曲げない。 「速度を上げなくても、姿勢の保持や歩行に重要な筋肉は、ジョギングと同じぐらい働く。日常生活の中で、どこでもできる」と岡本さん。

足の裏から脳へ刺激

健康維持には一日約一万歩が目安で、話が楽にできる程度のスピードがよいとされる。慣れてくれば、ややきついと感じるぐらいの速さで歩くと効果が高まる。緩い坂道を上るのも効果があるが、血圧の高い人は、平らな道を自分のペースでのんびり歩くようにしよう。エネルギ―を効率良く作り出せる午前十時以降に、一日あたり合計三十分以上、歩きたい。 大阪大健康体育部教授の生田香明さんは「緑が多く、舗装していない山道や緑道などを歩くと、精神的に落ち着き、足裏から脳へ刺激が伝わるので、脳の働きも良くする。子供のころから歩くことを習慣づけてほしい」と話す。

若返りの運動を

すでに老人型歩行になっている人はどうすればよいか。 「最初はつまずかないよう、つま先を上げてかかとで着地することを心がけてほしい。筋力がついてきたら、背すじを伸ばして歩いてみよう」と岡本さんは助言する。つえや手押し車を使うのも、筋肉の過剰な緊張が減り、歩きやすくなるので悪くない。イスを利用した運動も、歩行にかかわる筋肉を鍛え、脚力を回復するのに役立つ。  (1)座った状態でかかとを地面に着けたまま、つま先を上げる(2)片方ずつ足を曲げ伸ばしする(3)イスから立ち上がって背伸びする―などだ。脚力の弱い人は高いイスから始め、不安定なら別の人や机などを支えにする。運動中は息を止めないようにしよう。

【健康になる歩き方】  (岡本勉さんによる) ・ あごをひいて、肩の力を抜き、胸を張る。 ・ おなかを引き締めて、背すじを伸ばし、上体を引き上げる。 ・ 少し大またで地面を強くけり出す ・ つま先は少し外向きにし、ひざを伸ばしてかかとで一直線上に着地する

【写真の説明】 乳幼児期の不安定な歩き方。両足を肩幅以上に広げ、つま先や足の裏全体で着地する(写真右)。 成人型歩行の例。背すじを伸ばし、かかとで着地している(写真左) (いずれも岡本さん提供)

【イスを利用した足腰の若返り運動】 (1) かかとを着けて、つま先を上げさげする。(すねの筋肉) (2) ひざを片方ずつ曲げ伸ばしする。(ひざを伸ばす筋肉) (3) イスから立ち上がって背伸びする。(ひざ・腰・背すじを伸ばす筋肉)(ふくらはぎの筋肉)

◆ 関係団体・情報サイト
◇ 日本ウォーキング協会(東京) 03・3295・1002、FAX03・3295・1003 www.walking.or.jp
◇ NPO法人ウォーキング研究所(本部・東京) 03・5285・7667 www.walking.gr.jp
◇ ウオーキングスタイルドットコムwww.walking-style.com/index.php
◇ ミズノ・ウオーキング www.mizuno.co.jp/walking/

◆ 歩行と健康に関する本
◇ 「ニューエクササイズウォーキング」(岡本勉、岡本香代子著)歩行開発研究所072・631・1788、税別1905円
◇ 「決定版快適ウォーキング」(湯浅景元著)岩波アクティブ新書、税別740円
◇ 「現代身体教育論」 (生田香明、臼井永男著)放送大学教育振興会03・3502・2750、税別2600円

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